2014年12月26日金曜日

水谷先生4

4つ目です。
これで終わりかもしれません。

実は,私は,水谷先生に手放しでほめられたことは1回しかありません。それもブログには書けませんが,いいできごとではありません。

それを除くと,「まだまだだ」と言われて,それに加えて,ちょっとほめられただけです。さて,『音声教育の実践』(くろしお出版)が今年の3月に出ました。自画自賛ですが,いい本だと思っていますし,先生に褒めてもらえると思っていました。春休みに水谷先生にお渡ししようと思っていました。ですが,今までと違って,褒められたら,先生が元気でなくなっているということで,そんな姿を見たくないという怖さがありました。ほんとうに怖かったんです。水谷先生は,1211日生まれなので,そのあたりでお電話しようかとも考えていました。また,仕事の関係で,その後,水谷本(水谷修監修『日本語教育の過去・現在・未来』凡人社)を読み返していたところでした。でも,電話はしませんでした。それが心残りではあります。私をずっと気にかけてくださっていたというのは,いろんな方からお聞きしています。でも,怖かったんです。それで,お声は聴けませんでしたが,私はそれでよかったと思っています。院生時代から,水谷先生に初めて会ってから30年以上たって教授になった今も,何か研究や仕事をしているときに,「これを水谷先生に報告したら,何て言われるだろうか」といつも思います。そして,弟子として,水谷先生の顔に泥を塗るようなことは絶対にしたくないし,何よりも,水谷先生をがっかりさせるようなことをしたくないと思って仕事をしています。ですから,水谷先生はずっと私の中で生きています。

    河野俊之